おはようございます。
昨年から公表されていましたが、6月からMSCIの指数に中国A株が組み入れられます。これにより、今後、新興国株式指数の構成国比率が変わりますので、この点は認識しておく必要があります。
1.中国市場の成熟度が高まる可能性
ロイターのコラムでは、中国人民元建て株式(A株)の一部が主要指数に組み入れられることで、海外から中国市場にさらに厳しい目が注がれるとのことです。
コラム:MSCI指数の中国A株採用、市場の成熟度高まるか | ロイター
この記事では、UBSの報告について述べられており、中国市場は個人投資家が取引の8割を占めるとのことです。
例えば、「敗者のゲーム」(チャールズ・エリス著)では、アメリカ市場での取引所取引の95%は機関投資家であることが記載されています。中国は、このような市場とは大きく違いますね。
記事で述べられている通り、今後は海外からの資金が入るときに、ファンダメンタルズ(基礎的条件)が考慮される場合もあるため、市場が成熟してくるだろうことが予想されています。
2.中国A株とは
中国A株(以下、A株)の正式名称は人民元普通株券です。A株は、中国国内で上場され、中国の国内投資家専用の市場となっています。
なお、基本的には中国国内投資家専用となっていますが、QFII(適格国外機関投資家制度)で認可された国外の機関投資家は取引することができます。
A株は、上海証券取引所と深セン証券取引所の2つの取引所に上場しています。
上海証券取引所に上場しているA株は上海A株、深圳証券取引所に上場しているA株は深圳A株(深センA株)と通称されています。
3.構成国比率
今後のMSCIエマージング指数における構成国比率について説明します。以下に記載のMSCIのサイトのブログを参考に筆者によりグラフを作成しました。
MSCIエマージング指数において、組み入れの最初の段階で、A株は全体に対して0.8%分を占める程度となります。従って、組み入れ当初はほとんど影響がないといえます。
一方で、実際のA株の時価総額を考慮すると、構成国比率は以下のようになるそうです。中国の比率が全体の40%を占める形となり、かなり中国に偏った形となります。
このような比率には、将来なる可能性もあるし、ならない可能性もあるとのことです。ただ、MSCIエマージング指数に連動する商品に投資している場合、このように中国への集中的な投資になる可能性があることは憶えておいてよいと思います。
4.新興国株式のインデックスファンドについて
MSCIの新興国株式インデックスに連動する投資信託を購入している人も多いと思います。eMAXIS Slim 新興国株インデックス、たわらノーロード新興国株式、ニッセイ新興国株式インデックス等、ほとんどはMSCIのインデックスを採用しています。
これらに投資している人は、今後、中国の割合が強まる、即ち、新興国内での分散性がやや損なわれることは考えておいた方がよいでしょう。ただ、中国の今後の成長を信じている方には朗報。中国の成長をより取り込める可能性があると考えることもできます。
中国に偏るのが好みでなく、韓国が入ってないことを許容できるなら、FTSEの指数に連動する「EXE-i新興国株式ファンド」あたりが良いかもしれませんね。
なお、今後我々がどうすべきかは以下のコラムも参考になります。
中国A株のMSCI指数組入れを受け、投資家は何をすべきか |株式|知の広場|アライアンス・バーンスタイン株式会社
皆様の参考になれば。
▽▽「ポチ」っと応援して頂けると嬉しいです▽▽