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製薬会社への投資で気になる点:「特許切れ」って業績に与える影響が大きい

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おはようございます。

私も弁理士として働いていますので、たまには特許のことも記事にしてみたいと思います。 

1.1つの特許の影響力が大きい製薬業界

弁理士や知的財産部として働く知財部員の方を除くと、なかなか特許の情報に触れることは少ないと思います。

しかし、皆さんも製薬会社のIRや業績発表で「〇〇薬の特許切れの影響で〇%減収」なんて記事は目にしたことがあると思います。最近ではこのようなニュースもありました。

武田薬、19年3月期は減収減益見通し 特許切れや事業売却が影響 - ロイターニュース - 経済:朝日新聞デジタル

このように、「製薬」では、特許の影響力が高く、売り上げという数字に大きく響きます。 

 

2.製薬会社での特許調査

製薬会社では対象の薬の特許が切れると、何十億という単位で利益が減少します。安価な後発のジェネリック薬が出てきて、後発品を発売した会社に売り上げが取られていくからです。

なお、「ブロックバスター(売上が1000憶以上)」と呼ばれるほどの薬であれば、何百憶という単位で利益に影響があるでしょう。

 

実際に製薬業界ではどのように特許が調査され、後発品が出ているのかを紹介します。以下の沢井製薬のサイトにおいて、特許調査の仕事に従事している方が記事になっています。

この男性は、先発の医薬品の特許切れを調査して、後発のジェネリックをいつ上市できるかを検討し、プランを立てるような仕事をされています。以下に引用しますが、かなり労力がかかります。

ある先発品の特許が○○年に切れるため、最短で何年で上市できるのか調べるという調査でした。日本の特許庁のデータベースにキーワードを入れると情報はすぐに出るのですが、それだけだとモレが生じる可能性があるので、他のデータベースも使って何重にも調べました。
・・・(中略)・・・
医薬品に関する特許においては、絶対回避できない基準となる特許があって、それが切れないと後発品は上市できません。なのでまずそれを調べ、何年に上市できるかというプランを立てるのですが、調査を重ねていく中で、原薬の製法特許、結晶形や製剤方法に関する特許など、開発の障害となる特許があとから見つかる場合もあります。その都度それらをどうやったら回避できるか検討して、基準の特許が切れた時に一番手で上市するというのは、なかなか難しいことなんです。

引用元:入社2年目が語る、医薬品特許に関わる仕事の広さ・深さ・面白さ 「まだまだ、もっと成長しないと」|SCIENCE SHIFT

特許の情報は公開されていますので、上記の記事のように、特許の期間が切れる5年とか10年前から後発品を上市する準備をしているわけです。

先発品を出している会社にしてみたら脅威ですね。しかし、先発品を出している会社も様々な形で特許を出して自分達が優位に立つ期間を少しでも長くしようとしています。

 

3.製薬会社への投資は?

製薬会社に関して、「特許がいつ切れる」という問題は、その会社の「確実に分かる将来の減収要因」ですから、新薬の開発にも力を入れています。

主要な薬の特許が切れる前に、なんとか新たな柱となる薬を上市したい。以下のサイトの通り、製薬会社の上位は莫大な開発費を投入しており、新薬の開発は熾烈を極めています。

なお、2017年度の各製薬会社の売り上げも記載されており、もしこの業界に興味のある方は一読することをおすすめします。

UPDATE【2017年製薬会社世界ランキング】売上高トップはロシュ ファイザーは2位後退 3位はノバルティス | AnswersNews

 

さて、本ブログは、資産運用関連のカテゴリに属してますので、投資に関しても述べたいと思います。製薬会社に関しては、

  1. 特許切れの影響で業績が大きくぶれる(特許切れは事前にわかるので予想はつくのですが)
  2. どの会社が新薬を開発して業績を伸ばしてくるのかも予想しずらい(新薬の成功確率が低い、また、国側の承認が下りるかどうか等のリスクも存在する。例えば、以下のように新薬が発売できる確率はかなり低いという報道もあります。)

   新薬開発 発売できる確率2万~3万分の1 :日本経済新聞

と感じています。

 

私なら、製薬会社の個別株は取引きせずに、どこの会社の業績が伸びてもいいようにヘルスケアのETFを買った方が良い、というのが結論です。

バンガード ・米国ヘルスケア・セクターETFVHT)とかですね。このETFの場合、米国の主要な企業、即ち、「Pfizer」、「Johnson & Johnson」、「Merck」等を組み入れつつ、ヘルスケア分野への分散投資が可能です。ただ、スイスの製薬大手が含まれていないのが難点です。

グローバルに製薬を含むETFとなると、ブラックロックIXJ)です。こちらには、アメリカの製薬大手、及び、スイスの製薬大手(ノバルティス やロシュ)が含まれています。

これらの2つのETFについては、また今度紹介する記事を載せたいと思います。

今は私は持ってないですが、セクター別のETFも今後は検討していきたいと思います。

皆さまの参考になれば。

 

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