おはようございます。
株式のアノマリーとして、小型株効果というものがあります。小型株効果とは、「小型株の方が、時価総額が大きい大型株よりもリターンが高くなりやすい傾向にある」効果を言います。このような事実を証明するデータは各方面で提示されています。
インデックス投資における名著「ウォール街のランダムウォーカー」(バートン・マルキール著)でも、この点は取り上げられています。
今回は、「JPX日経中小型株指数」という、日本の中小型株を対象とした指数を紹介します。
1.JPX日経中小型株指数とは
JPX日経中小型株指数は、日本取引所グループ、東京証券取引所、及び日本経済新聞社が共同で開発し、2017年3月13日から公表が始まった株価指数です。
選定基準の概要は以下の通りです。実際にはもう少し細かく選定基準があります。簡単に述べると、直近の決算で赤字になっていない中小型銘柄に関して、ROE及び営業利益の指標で一定のスコアが得られる中小企業を選定することになります。
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下記のいずれかに該当する場合は銘柄選定の対象としない。
・上場後3年未満
・過去3期いずれかの期で債務超過
・過去3期すべての期で営業赤字
・過去3期すべての期で最終赤字
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大型株の除外(基準日の時価総額上位20%以内の大型銘柄を除外)
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市場流動性指標によるスクリーニング(年間売買代金が150億円以下、時価総額100億円以下の低流動銘柄を除外)
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3年平均ROE及び3年累積営業利益の指標によるスコアリング
2.対象銘柄の市場区分
対象となる銘柄は、東証の市場第一部、市場第二部、マザーズ、JASDAQ を主市場とする普通株式です。構成銘柄数は、200銘柄です。構成銘柄の市場区分は以下になります(2018/4/2時点)。東証の第一部が一番多いですね。小型株も入っていますが、中型株の割合が比較的多そうなイメージです。
- 1部・・・176社
- 2部・・・6社
- マザーズ・・・4社
- ジャスダック・・・13社
更に、構成銘柄である200社については、以下のリンクより見ることができます。
3.JPX日経中小型株指数に連動する投資信託
現時点では、以下の3つの投資信託があります。私は、中小型株の効果を実験的に見てみようと思い、「eMAXIS JPX日経中小型指数インデックス」を少量保持しています。以前に比べると、中小型に投資する投資信託の信託報酬が安くなっています。
- eMAXIS JPX日経中小型指数インデックス:信託報酬0.432%
- SMT JPX日経中小型株インデックス・オープン:信託報酬0.432%
- インデックスファンドJPX日経中小型株:信託報酬0.540%
4.TOPIXとの比較
では、JPX日経中小型株指数をTOPIXと比較してみた結果を見てみます。JPX日経中小型株指数は、TOPIXを超えるリターンを得られているでしょうか?
以下の「eMAXIS JPX日経中小型指数インデックス」のサイトで検証されています。2006年8月以降から2017年4月時点までのリターンとリスクです。リーマンショック時を挟んで、JPX日経中小型株指数はTOPIXよりも高いリターンを出しています。
ただし、気を付けるべきはリスクも高い点です。リーマンショック時には、TOPIXよりも下げ幅が大きいという結果になっています。
詳しいチャートを参照したい場合は下記リンクよりご確認ください。
リターン | リスク | |
TOPIX | 3.2% | 18.9% |
JPX日経中小型インデックス | 4.9% | 20.3% |
出所:eMAXIS JPX日経中小型株インデックスとは? | eMAXISを参考に筆者が作成
5.ひふみ投信との比較
ひふみ投信は、昨年からアメリカ株も構成銘柄に加えていますが、ポートフォリオの大部分が日本の中小型株であるアクティブファンドです。
ここでは、JPX日経中小型株指数に連動する投資信託と、日本の中小型株を対象としたアクティブファンドの代表格である「ひふみ投信」との最近のリターンを比較してみたいと思います。「eMAXIS JPX日経中小型指数インデックス」が設定された2017年6月以降でパフォーマンスを並べてみました。約1年間の比較です。なお、参考にTOPIXもチャートに入れました。
- eMAXIS JPX日経中小型指数インデックス(03313176):緑色
- ひふみ投信(9C31108A):赤色
- TOPIX:青色
出所:Yahoo Finance
2017年6月以降だと、ひふみ投信が相変わらず最も高いリターンを出しています。昨年から少し組み入れたアメリカ株のリターンも加わっていると思いますが強いですね。
しかし、eMAXIS JPX日経中小型指数インデックスも設定来から高いリターンを出しており、ひふみ投信に近い位置にある時期もありました。これに対して、TOPIXはこれら2つに劣後していますね。
6.まとめ
JPX日経中小型株指数は、過去のデータ上ではTOPIXより高いリターンを出しており、また、ここ最近でもTOPIXよりも高いリターンを出しています。国内株式クラスにおいて、TOPIXをコアにしつつ、ポートフォリオのアクセントとして数%程度持つには良いかもしれません。
しかし、上記の通り、JPX日経中小型株指数のリスクはTOPIXよりも大きいので、ポートフォリオ内で大きな割合を当てるのはおすすめしません。
なお、比較対象として、中小型企業に投資しているアクティブファンドであるひふみ投信も取り上げましたが、ひふみは相変わらず強いですね。ひふみは、ファンドマネージャが中小型企業に訪問して徹底的な調査・分析を行って投資先を選別していることで知られています。上記のようにROEや営業利益などの数字的な部分だけでなく、実際に足を運んで選別しているあたりに強みがあるのかもしれませんね。
ちなみに以下の過去の記事の通り、私は実験的に少量保持していますが、ひふみについては積立てなどしておらず現在は購入しておりません。
それでは良い1日を。
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