おはようございます。
今回は前回のつづきで、バリュー平均法の買付頻度やバリューパスの設定の仕方について記載したいと思います。
前回の記事です。
1.買付け頻度は?
バリュー平均法は、「バリューアベレージングパス(以下、「バリューパス」と呼ぶ)」という目標額を決め、その目標額になるように投資を行う手法です。
バリューパスと比較して、その時の評価額がバリューパスより大きければ超過分を売却し、その時の評価額がバリューパスより小さければバリューパスに一致するように買付けを行います。
ここで、買付けを行う頻度はどのくらいが良いかという問題ががあります。
「投資 4つの黄金則(ウィリアム・バーンスタイン著)」では、四半期ごとにバリューパスを設定した事例が記載されています。
さらに、「自分でやさしく殖やせる確定拠出年金 最良の運用術(岡本和久著)」においても、「買付頻度は四半期に1回、ないしは半期に1回のペースが適当」と記載されています。
一つの根拠は、バリュー平均法の考案者であるマイケル・エドルソン氏が、米国市場の分析で四半期ごとが良いとの結論を出しているとのことです。
もう一つは上記の岡本氏の著書で検証がなされており、「月次」、「四半期」、「半期」、「年次」で比べたとき、マーケットの方向性が変わる確率は、「四半期」と「半期」が他の場合に比べてやや高いという結果でした。
バリュー平均法は、相場が上昇する/下降するという変化点をつかんで、買付け量を変化させたり、超過分を売却したりします。より相場の変化点が出現する確率が高い期間を選んだ方が良いということなのでしょう。
2.バリューパスの設定の仕方
バリュー平均法で最も重要になると思われるのは、バリューパスの設定方法です。
最も簡単な設定方法は、四半期ごとに一定額ずつ増加させる方法です。
例えば、毎四半期に定額10万円増額するパスだと以下のようになります。
ただ、岡本氏の著書で指摘されている通り、資産額が大きくなると、増額分のインパクトが相対的に低くなってしまうことが課題です。ただ、運用資産額が小さいときには、このような単純なパスでも良いと思います。
バリューパス | |
2018年1月 | ¥100,000 |
2018年4月 | ¥200,000 |
2018年7月 | ¥300,000 |
2018年10月 | ¥400,000 |
上記の課題を考慮して、岡本氏の著書では、以下のような提案がなされています。
さらにバリュー経路を高度化することも可能です。それはバリュー経路に運用による資産の増加額を織り込むのです。
自分でやさしく殖やせる確定拠出年金 最良の運用術、P199
運用による資産の増加分を取り込むと以下のような考え方でよいでしょうか。
今四半期のバリューパス = (前四半期のバリューパス×期待リターン)+一定額
例えば、上記の表と同様に2018年1月の10万円からスタートすると、2018年4月のバリューパスは以下のようになります。
2018年4月のバリューパス = (¥100,000×期待リターン)+¥100,000
ここで、四半期間での期待リターンをどのように設定するかが問題になります。
例えば、MSCIコクサイの期待リターンは年率5%程度ですので、ここでは、四半期間での伸びを1.25%と設定します。
結果、2018年4月のバリューパスは「¥201,250」になります。これを連続していくと以下のようになります。複利の効果も反映されたバリューパスになります。
このように、投下した資産の伸びも考慮してバリューパスを設定するのも良いと思います。
バリューパス | |
2018年1月 | ¥100,000 |
2018年4月 | ¥201,250 |
2018年7月 | ¥303,766 |
2018年10月 | ¥407,563 |
なお、上記の例では、毎四半期に増加させる額を一定の額(¥100,000)で固定しましたが、こちらも自分の状況に合わせて変更してよいかと思います。
例えば、1月、7月は、多くの会社では、6月、12月の賞与後の月です。
1月と7月は、他の場合と比べて追加する投資額を多く設定するような修正もあってもよいと思います。
3.バリュー平均法のデメリット
バリュー平均法はドルコスト平均法よりも有効であると考えられていますが、以下の点がデメリットとなります。
デメリット1.下落局面(特に、暴落があったとき)では、バリューパスに一致するように投資資金を追加していくことが困難になる。
リーマンショックでは、株式クラスのインデックスがおよそ50%程度下落しました。このような場合、追加する資金が枯渇して、バリューパスに追従できなくなる可能性があります。待機資金を余裕をもって確保しておく必要があります。
デメリット2.市場がバリューパスを超えて上昇している場合、売却による税金の支払いが発生する。
課税口座で運用している場合には、利益に対して約20%の税金を支払う必要があります。このような点を考慮して、岡本氏の著書では、売却時及び買付時の手数料及び税金のコストがないことから、バリュー平均法を確定拠出年金で利用することを提案しています。但し、この場合でもデメリットがあります。確定拠出年金だと毎月拠出する額が決まっています。運用する資産額やバリューパスの設定に制限があります。待機資金も確定拠出年金内の元本保証商品で保持しておく必要があり、ここもデメリットです。
デメリット3.上昇局面で機会損失になる場合がある。
市場が右肩上がりで継続的に上昇する局面の場合、資金を投入する量が小さい、又は、追加資金を投入できない状態が継続し、機会損失となる可能性があります。
4.バリュー平均法を取り上げた理由
前回と今回の記事で、簡単にですが、バリュー平均法を取り上げました。
上記のようにデメリットがありますが、多くの局面においてバリュー平均法は、ドルコスト平均法よりも有効であるようです。
今回バリュー平均法を取り上げたのは理由があります。
リーマンショックから約10年が経過し、この10年は暴落から大きく右肩上がりで回復、そして、上昇してきました。
アメリカの景気も好調で、今がピークという考えもあるようです。
あまり予想しても意味がないですが、私も、今が直近のピークで、近い将来に大きな下落局面が来るのではないかと思っています(というか、来てほしい笑)。
下落局面が来て、ボラティリティが大きい相場が来るとなると、バリュー平均法の考え方は非常に有効だと思い、取り上げました。
下落局面が来ても、より多くの資金を投入するようにして、20年後の資産形成につなげていきたいと思います。
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